きら人 vol. 5 森弓恵 さん

エール今月のきら人

自分にとっての必要なことを創ることで知っていくんだと思う。

 春の陽射しに包まれた野津原の里。この長閑な里山の風景に溶け込むようなやわらかさで、森弓恵さんは出迎えてくれました。弓恵さんの肩書きをあえて付けるなら、「モノづくり作家」でしょうか?

 「よく、あなたは何者?って聞かれます(笑)」

 それもそのはず、弓恵さんは感性のままに様々なモノを創り出す人。そのきっかけとなったのは、輸入雑貨の店で5年ほど働いたことから。バイトから店長になるまで昇格したものの、「もういいかなと思って…」退職。その後、東京でマフィンの店を出したいという想いが湧いてきます。心のままにオリジナルマフィンの研究を重ね、何度も試作してはイベントに出すまでになったものの、そこまで行き着くと再び「もういいかなと(笑)」と「東京でマフィンの店」の夢はあっさり手放してしまいます。次に心動かされたのは、アクセサリー創り。創っていくうちに、自分の居場所が欲しくなり海辺の町、国東へ引っ越すことに。

 「この周辺は家賃が安かったし、空港も近いので(笑)」という理由だけでした。幸運にも、自由に使える古家が見つかり、それを自らの手でペインティングし、ついに夢のお店を完成させたのです。

 店はまさに弓恵ワールド全開! 浜辺で拾った貝殻や流木、麻ひもやリサイクルシルク、ビーズ、ガラス玉、パワーストーンなどで、マフィン同様、既成概念にとらわれないオリジナリティあふれる繊細なアクセサリーを創り、気持ちいい洋服を創り、素朴なおやつを出す小さなカフェまでも創りました。だけど、そこまで創りあげてしまうと、彼女には自分に必要なものが見えてきたのです。

「お店を持ったらイベントに呼ばれたり、ワークショップに赴くようになったりして。するとお店って必要ないなと。多分、作らなかったら分からなかったですね」と弓恵さんは笑いますが、実は、彼女には一貫してブレていない軸があります。それは心の奥深くから湧き上がる想いに正直であること。突き動かされるままに、想いを実現した後は、潔く手放し、また生み出してゆくのです。その過程で、自分に何が必要かを確認するかのように。

 「今の生活は、不必要なものを削ぎ落として必要なものを取り入れた結果だと感じています」

 だからこそ、こんなにも軽やかで、マイペースで、そして充実していられるのでしょう。今の生活は働きながら自分の時間にレース編みする日々。美しいレースから、サンキャッチャー、ブローチ、指輪など次々と創作していく弓恵さんは側から見ていても幸せそうです。目下、創りたいのはレースのドレスだそう。

 「でも、ほんとうに創りたいものって、目に見えないものかもしれないなあ」

 目に見えないモノづくり。半分はもう完成しているように、弓恵さんを見ていると感じます。

家具と雑貨 Hygge(ヒュッゲ) / 森弓恵さん
家具と雑貨 Hygge(ヒュッゲ) / 森弓恵さん

a.この笑顔が今の彼女を物語っているよう。 b.繊細で美しいレースのサンキャッチャーは、弓恵さんならではの作品。 c.海辺の町で4ケ月ほどオープンした雑貨カフェ「コキアル」。お店も自身でペインティング。 d.「コキアル」で販売していた作品。浜辺に転がっていた貝殻が、こんなにも素敵な雑貨に変身。 e.弓恵さんのレース雑貨を置くショップ〈家具と雑貨 Hygge(ヒュッゲ)〉。暮らしを素敵に楽しくさせる、雑貨か家具が、たくさん揃っている。 f.Hygge(ヒュッゲ)に並ぶ弓恵さんのアクセサリーはどれも可愛く個性的。作品たちが居場所を見つけたかのように気持ちよく存在していた。


きら人vol5 家具と雑貨 Hygge(ヒュッゲ)森弓恵さん

家具と雑貨 Hygge(ヒュッゲ)

住所
大分市木の上 403-10
電話
097-511-4501
営業時間
11:00〜20:00
店休日
火曜