きら人 vol. 4 カフェ「アリシア」永山智美 さん

エール今月のきら人

食べることの大切さ、生きている楽しさ。それが伝えられたらいいですね。

 新鮮な野菜たっぷりのランチ、オーガニックな食材で丁寧に手作りされたパンとスィーツ。そして時折、催されるライブやパーティ、ケータリング、特注のケーキ…そんな「食」と「文化」が、この小さなカフェ「アリシア」から次々と創造され、提供、発信されています。

 その創造主が永山智美さん。オーナーであり、シェフであり、パティシェであり、またプロデューサーでもある彼女は、一方では二人の子どもの母でもあるのです。店をオープンして今年で5年目。

 「ここに辿りつくまで、波乱万丈のストーリーですよ」と笑う智美さんは、東京都のご出身。なんと20年前は八丈島に住む漁師の奥さんだったとか。それがある事情で八丈島から大分へ、漁師から農業へと転身。智美さんは第一子を出産したばかり。大分に移住したものの慣れない農業に挫折し、一家は家を探し求め、久住へ湯布院へ車で移動。ついに阿蘇ではティピ(移動用テント)生活に入ります。その間、二人目の子どもを出産し、子育てをし、ティピを訪ねてくる旅人たちの食事の支度に追われる日々。

 「大変だったけど料理も覚えられて楽しかったですよ。結局、主人とは方向性が合わずに離婚しましたけど(笑)、今は感謝しています」

 その後、豊後大野市に移住していたパン屋の姉夫婦の協力もあり、自立を目指して「アリシア」を立ち上げるのです。だけど、その頃の彼女は心身も疲れはて、子どもは重度のアトピーになり、ご自身もまた重い病を患い、摂食障害にまでなっていました。子どもの体、自分の心と体を治すためにはもう食べ物しかないと、智美さんは気づきます。

 「これから先を生き抜くためにも、命のある食べ物を口にしようと、独学ながら真剣に料理に向かいました」

 生命力のある食べ物を探していくと、しっかりと大地に向きあい、無農薬の野菜や果物を作っている農家の人たちと出会います。この恵みの野菜をどう活かそう、どんなふうにおいしく料理しよう、時にはお肉やお魚を使ってもいい、自由に楽しんで食べていただきたい。その真摯な想いが智美さんの料理の腕を磨かせ、「アリシア」の味を作りだしたのでしょう。店にはファンが付き、ランチ時やイベント時に店はいっぱいになるほどに成長。気づけば長男のアトピーもご自身の病も改善され、すっかり元気を取り戻していました。そんな彼女は今、「アリシア」から、外へ向かい始めます。さらに安全でおいしい食材を自分の手で作ろうと、畑を持つ夢の実現へ。まずは、一番扱う小麦の栽培から。しかも、農薬を使わない地球にも動物にも人間にも安全な方法で小麦を育て、次世代に命をつないでいきたいと話します。

 「今までの過程は、すべてここに来るまでの必然だったような気がします。いろんな体験ができたからこそ、今の私がいる。これからもいろいろあるでしょうでけど、生きていて楽しいと思えることをやっていきたいんです」と明るく笑う智美さん。

 小さなカフェから生まれる物語は、ファンを魅了しながら、しなやかに変容しつつ、この先もまだまだも続いていきそうです。

カフェ「アリシア」永山智美さん
カフェ「アリシア」永山智美さん

a.YELLのテーマである、自分にとってのきれいとは?「自分に合うものを身につけ、人生を楽しむこと」まさに智美さんが体現している。
b.光に包まれた小さな空間だからか、不思議と長居したくなる。不定期にライブイベントが行われる。
c.臼杵のジャガイモと玉ねぎを使ったキッシュのランチ。ブロッコリー、ベビーリーフ、紅しん大根、ニンジン…オーガニック野菜のヘルシーランチ1200円は女性に大人気
d.カリフラワーのポタージュと自家製パン。
e.取材時はバレンタイン前だったためチョコレートケーキが登場。卵も牛乳も使用していないというのにコクもあっておいしいこと、この上ない。
f.臼杵でお世話になっている足岡さんの畑。「畑に立ち、土を触るだけで元気になってくるんです」と智美さん


カフェ「アリシア」永山智美さん

Aricia(アリシア)キッチン&カフェ

住所 : 大分市府内町2丁目3-20天神ビル1F
TEL:090-7535-9385
営業時間/11:00~18:30
店休日/日曜